小林ひとみ
はだいろ

中学二年生のころ、
友達が、
雑誌の広告に載っていた、
身長がぐんぐん伸びる秘宝を、
1万円で、買った。
ドキドキしながら、待っていた。
虎の巻には、
毎朝、ジャンプしよう。
と書いてあった。


中学三年生のころ、
友達が、
雑誌の広告に載っていた、
秘密の穴の奥まで丸見え!写真を、
1万円で、買った。
ドキドキしながら、待っていた。
生写真には、
知らない女の、
鼻の穴が、写ってた。


高校一年生のころ、
友達が、
雑誌の広告に載っていた、
これできみもマーシャルアーツの殺人鬼!を、
1万円で、買った。
ドキドキしながら、待っていた。
授かった必殺技は、
自分より強い奴と闘うべからず、
あとは目を突くわざだった。


友達よ、
人生は、わからないものだね。
生きてどうにかなろうと思うのはやめようよ。
それとなく、
なんとなく、
どこかで童貞を落っことすことを信じて、
今日を生きようよ。


友達が、
雑誌の広告に載っていた、
小林ひとみの裏ビデオを買ったのも、
もうだまされてもいいやという気もちだったに違いない。
高校の卒業写真には、
たしかに、
友達の手には、
とうとうほんものの、
小林ひとみのサイン色紙が握られている。











自由詩 小林ひとみ Copyright はだいろ 2011-08-09 20:43:39
notebook Home 戻る