ノート(いない わたし Ⅱ)
木立 悟





わたしはわたしとは別に
川に沿って進んだ
曇は倒れ 消えたあとも
水の上に映りつづけていた


わたしはわたしとは別に
どうとでもなるものだった
民族の音を消してまわった
わたしが星であり指だった


わたしは
わたしには続かなかった
うしろすがた うしろすがた
何度着替えても うしろすがた


まわる耳 まわる尾
積み重なり 川を堰き止め
湖はあふれ
丘を運んだ


わたしはかつてわたしだった
わたしに向かって降りていた
指のかたちが
わたしになった


わたしは隣のわたしだった
三つめの緑を呑んでいた
夜と夜のはざまの柱
わたししかいない原を照らしていた




















自由詩 ノート(いない わたし Ⅱ) Copyright 木立 悟 2011-08-08 23:04:00
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