あなたというあなた
中川達矢
たったいま
この詩をよんでいる
あなたがきらいです
と
わたしに言われて
どきっとした
あなた
名前はなんと
およびすればいいでしょうか
あなたの名前は
あなた
ではないはずなのに
どきっとする
はずもない
それでも
あなた
という言葉に
まどわされている
のは
あなたが
代名詞だから
だれでも
あてはまるように
思えるけど
だいたいの
物語に登場する
あなたは
なぜか
特定できるように
なっている
から
はじめに
この詩をよんでいる
あなた
と
およびしたあなたは
ひとりしかいません
ので
ごめんなさい
で
たったいま
この詩をよんでいる
あなたを知りたい