タイムマシン
吉岡ペペロ

あなたもそうだろう

死んだらまっさきにあなたの過去にゆき

ぼくはあなたに寄り添うから

ぼくはあなたに寄り添うから


幼稚園のときいじめられっ子だった

でもいじめっ子たちのほうがいい子だった

鯉の目に串がささっていた

助けようとして池に入ったら校長先生に殴られた

中学は病院の病室から通っていた

ともだちなんか一人もいなかった

高校には行かずカミソリみたいなことばっかりしていた

こいつなら何分で殺せるだろう

それがひとを見るときのモノサシだった

はじめての女には下手くそと言われた

いま好きなひとがいるのと言われて別れた

あの日あなたの声を聞いた

気持ちを打ち明けあうと耳鳴りがやまなくなった

そしてあなたの体温を知った

肌に耳をあてていた

耳鳴りが海の音であったことに気づいた

あなたの乳首に執着した

はじめてあそこにしゃぶりついた

手をつないでいるだけで精子がでた

いつもいっしょにイッた

いじめられたいと思った

女みたいな声をあげてしがみついていた

楽しかった

景色も音も匂いも看板も心もなにもかも

世界でいちばん仲良しだった

ふたりとも違和感をかんじながら生きてきた

ふたりでいるとふたりぼっちになれた

ふたりぼっちでいると

幼稚園のころも

小学生のころも

中学生のころも

あなたがそばにいたことを感じとれた


あなたもそうだろう

死んだらまっさきにあなたの過去にゆき

ぼくはあなたに寄り添うから

ぼくはあなたに寄り添うから










自由詩 タイムマシン Copyright 吉岡ペペロ 2011-08-07 22:33:29
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