顔へのコラージュ
草野春心



   夏祭りは静かなの。太鼓と囃子と人の声とで、耳
  には暑い夜がぎゅうぎゅうと詰まっている。唇の動
  きが形づくる。視線だけが傷をつける。夏祭りは映
  像的ね。あなたの心はどこで踊っているのかしら?



   一つの認識が、水面に落とした波紋。二度目の滴
  はこないが、どこか遠くの森で、鉄琴のような音を
  たてて川が流れているのをわたしは聴いている。時
  の波だけが彫刻しうる河岸。瞳へとたえず誘われる色彩。



   パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パ
  ウラ・ファン・ネポムセノ・マリア・デ・ロス・レ
  メディオス・クリスピン・クリスピアノ・デ・ラ・
  サンテシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ。



   変貌を許されただけのイマージュ。蜘蛛は白紙の
  上で釣り合っている。次の蜘蛛への過渡期。危うさ
  の面こそが肌である。感じている指から遡ることで
  生きなおし続けるもの。変貌を許されただけのイマージュ。






自由詩 顔へのコラージュ Copyright 草野春心 2011-08-06 09:46:25
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コラージュ×4!