紙の夏
たもつ

 
  
道に紙が落ちていた
人の名前が書いてあった
知らない名前だった
畳んでポケットにしまった
家に帰って紙を広げた
十分経っても知らない名前だった
ひどく蒸して
退屈な夏だった
死ぬ、という言葉が
お守りのように大切だった
 
 


自由詩 紙の夏 Copyright たもつ 2011-08-05 19:55:59
notebook Home 戻る