遅い春
竜門勇気

違ったばかりの現実の
まだ塞がらないきず
やたらとぶっつけたくなる
せめてのムシャクシャが
どっか頭の中通り抜けて痛みを残す

どっかの誰かが通り抜ける
昼前の繁華街に
ナイフだけで武装してる影がいっぱい

目立たないからって
存在しないはずの自分
他人は怖くねーよ
みんながそういうから
そのふり
どっちかに転んで
ついでにあれこれ振り回せれそうで
やになるだけだ

どっかの誰かが
笑いながら生きてる繁華街
ぶっ壊しそうで黙って壊れたまま

いつもどおり
わけも分からず
泣きそうになって隠れた
あんまりにも腹がたって

いつもどおり
約束の場所に
辿りつけなかった
背中に生えてくカビに
祝福を捧げている


自由詩 遅い春 Copyright 竜門勇気 2011-08-05 05:53:18
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