回顧夏
唐草フウ
風林火山のごとく
誰にも知られず家を飛び出したわたしたちは
しばらくおびえながら暮らし
酷暑の陽炎 むしばまれつつ
いまに至っている
洗濯もの 干してたら綿毛の種がとまる ふわり熱風
こんな平穏が尊く ひとつ息を吐く
夏
しろい靄のかかった 走馬灯
と 。ぎ、 れ と ぎれ
サイレンの音 捜索願
それまでよく走った
ぼろぼろのやせたからだひとつあれば どこにだっていってやる
その一心でいきてた
夏はそんなわたしなど知らない
夏は夏だから
わたしのはじまりが
2回目をむかえる
日常は なにも かわらない かわっても
空を見るこころさえもなかった
今はひとつずつの夜が降り かさなってゆく
何ももうかんがえずに
おやすみ
おやすみ
あなたのことだけ考えて生きて
寝息をききながら
おやすみ
余韻で眠れない日々よ
おやすみ
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