回顧夏
唐草フウ



風林火山のごとく
誰にも知られず家を飛び出したわたしたちは
しばらくおびえながら暮らし
酷暑の陽炎 むしばまれつつ
いまに至っている

洗濯もの 干してたら綿毛の種がとまる ふわり熱風
こんな平穏が尊く ひとつ息を吐く


 夏 
   しろい靄のかかった 走馬灯 

と 。ぎ、 れ  と  ぎれ
  
  サイレンの音   捜索願




それまでよく走った
ぼろぼろのやせたからだひとつあれば どこにだっていってやる
その一心でいきてた
夏はそんなわたしなど知らない
夏は夏だから


わたしのはじまりが
2回目をむかえる
日常は なにも かわらない かわっても


空を見るこころさえもなかった
今はひとつずつの夜が降り かさなってゆく
何ももうかんがえずに
おやすみ
おやすみ

あなたのことだけ考えて生きて
寝息をききながら
おやすみ
余韻で眠れない日々よ
おやすみ













自由詩 回顧夏 Copyright 唐草フウ 2011-08-05 04:41:03
notebook Home