換気扇は回るよ、あの日の風車のように
はだいろ

有給休暇(というか、夏休み)をなんとか2日取り、
新幹線に乗って、
ある地方都市のセクキャバへ出かけた。
どうして、駅弁というのは、
列車が動き出さないと、開ける気にならないのだろう。


車窓から、
知らない人たちのそれぞれに暮らすアパートの、
テラスに干された布団などを見過ごして、
仕事を、やめるべきなのか、
やめるべきでないのかということについて、じっと考える。
そのとき、
ぼくの思考というのは、こうゆうふうに向かった。
もし、
ぼくが、このまま、
山本五十六のように、
耐え難きを耐え、
忍び難きを忍び、
60歳の定年まで、まるで、
生きた心地もなく、ちょっと十分な給料の余った分で、
デリヘルやソープや、地方のセクキャバへ出かけることで、
ストレスを解消し、なんとか働きつづけ、
退職金を、3000万円もらったとする。
(もっとも、退職金が実際いくらかなんて知らないけれど)

そうすると、
あと、18年で、
3000万円だから、
割る18、割る12ヶ月、割る30日で、
約5000円となる。
つまり、
ぼくは、
ぼくの一日を、18年間に渡り、
5000円で、売り渡すという、計算になる。

今ぼくが、もし、60歳だとして、
退職金を3000万円もらったとして、
どうだろう。
もし、ぼくの1日を、5000円で、
42歳まで、すべて買い戻せるとしたら。
ぼくは、どうするだろうか・・・??


セクキャバは、系列店が、
アーケード沿いに、3店舗あって、
なんと、ちょうどその日が、
開店記念日だそうで、半額キャンペーンだったので、
ものすごい行列だった。
30分で、3人の女の子が交代でつき、
気に入った子がいたら、指名料なしで、延長できる。
それで、いつも、
3店舗をはしごするのだけど、
このお店の素晴らしいところは、かならず、一日ひとりは、
どこかで当たりが出るのである。
ただし、欠点は、
その子だけと、30分過ごすことはできず、
どうでもよい、やる気のない、ドブスのヘルプの女とも、
20分は付き合わなければならない。

そして、
やっぱり、3店目の、1ばんめで、
今回も、当たりに出くわした。
なんて、ハレの気分にさせてくれる、
美少女か。
たっぷりと、大好きなディープキスを、
脳天がしびれてとろけるようなのを、
堪能した・・・
と言いたいけれど、
人気者なので、すぐに他の客のとこに行ってしまう。
でも、アドレスは教えてもらったので、
楽しかったよと入れたら、
色濃く覚えてるよ、と返信が来た。
で、どうなるわけでもないけれど。


職場のトイレの換気扇をいくら回しても、
妙な臭いが消えない。
けっきょく、空気の問題なのだろう。
空気が変わらないのなら、
どうして、いつまでも、そこにいる必要があるのだろう。
外は地獄だと言うけれど、
もしもその空が青いのならば、
ぼくは冒険していけるのではないだろうか。
42歳の厄年に、
そう思うのである。









自由詩 換気扇は回るよ、あの日の風車のように Copyright はだいろ 2011-08-04 21:30:56
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