螺旋階段
花キリン

       
白い螺旋階段を下りると涼しさが吹き上げてくる。余り残されていない時間を気にしながら、小刻みに切り取りながら無口になっていく。集中することを求められているから、少しの甘さと瞬間の冷たさに寄りかかるしかないのだが、喉もとの奥の微妙な感触が他人行儀にならないようにお腹に丸く収めていく。並んで座っている。同じような風景なのだが螺旋階段を下りる速さは異なっているから、笑いながら残る大きさを競い合ったりしている。残された時間がカウントされていく。風などが吹いてきて少しだけ手元の甘さと瞬間の冷たさが立ち止まる。それでも急がなければならないのだ。ポタポタと白い螺旋階段が崩れ落ちていくから、崩れ落ちる前に魔法のように手元に残る大きさをゼロにしなければならない。何とも忙しい食べ物だ。


自由詩 螺旋階段 Copyright 花キリン 2011-08-04 06:17:50
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