八月の証明
さき

お盆
虫取り
夏祭り
生に近いし
死に近い

いつから
八月になったのか
私には記憶がない
そう言えば
今日
「意味」を全うした蝉が
地べたに落ちていた
とたんに
歪んだ蜃気楼
今は
まだ
辛い
現実の続き

生きるためには
何を犠牲にしても
戦わねばならない
私は今日も
青春という時間を
労働に捧げる
しかし
それは
生存のための手段であり
私は生き物として
間違ってはないと
ふと
気がつく

恋がうまくいかなかったから
という理由で
「愛している」
という申し出も撥ねつけ
家庭を作らなかった私は
女としても
生き物としても
もう
終わったような気がしていて
いつしか
田舎にも
実家にも
帰ることが出来なくなっていた
いや
帰ることが出来ないぐらい
働くことで
許してもらいたかった

夏を待ちわびた
あの頃は
どんなに日焼けしても
気にならなかった
だから
服をたくさん脱いで
愛と恋の
八月を生きていた

今は
ねえ
それでも


昔は
やっぱり
もう




意味なくしては
生きられない
八月

まだ
生きている

まだ
生きている









自由詩 八月の証明 Copyright さき 2011-08-03 22:52:30
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