自然と人間
馬野ミキ

夜の森は怖い
手入れされた花壇の植物は怖くない
花瓶の花は才能のない画家がデッサンの練習に使っている





アスファルトを突き破って出てくる双葉に村人は勇気をもらう
地球にやさしくしなければいけないとテレビでいう
だが隕石は関係無く地球に突っ込んでくる
旅人や歌人は風を愛すが、風と地殻変動の違いとは何だろうか





熊が人を殺す
猿が街を走るだけで地元の警官と消防が総動員される
森に工事車両が入り区画整理される
赤坂サカスを一匹のミミズが這ってるだけで小さなパニックになった
「ミミズ超キメェ」と誰かが言った
それから、リストラでガードマンになった元部長の男がミミズを捕獲した







部長は従業員控え室でミミズを見つめた
立派に越えたミミズだった
きっと、よい土のなかで育ったのだろう












自由詩 自然と人間 Copyright 馬野ミキ 2011-08-03 15:30:17
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