僕が生きているとみんな泣かなきゃならなくなる
竜門勇気


かあちゃんが
もうこれいじょうは
酒を飲んじゃならねえと言って泣く

とおちゃんが
いてえいてえと言って
時々真顔で俺を見て泣く

外は雪が降りしきる
ここ何年か
止んでるのを見たことがない
二日酔いの頭に
吐き気を無理して
酒を突っ込んでる時なんか
とんでもない吹雪が
世界を滅ぼそうとしてるみたいだ

だれかが
おめーのせいだと
指をさして
また泣くよ
また泣くよ

誰かの幸せを願った時
最初にすることは
自分の首を切り落とす想像だった

ここからどこか
遠くへいこう
輪っかから離れるんだ
繋がりは枝にぶら下がった紐さ

僕が生きていると
誰かが泣かなきゃならないんだ
そんな誰かのためにまた人が泣くんだ

僕が生きてるとみんな泣かなきゃならなくなる
僕が生きてると



自由詩 僕が生きているとみんな泣かなきゃならなくなる Copyright 竜門勇気 2011-08-03 04:44:19
notebook Home