焼骨の埋葬
長押 新


じいちゃんが
死んで
棺桶に入れられた顔を
じっとみては
安心していたけれど
触ってみる気には
なれなかった

じいちゃんを
火で焼いて
消す
ひどく惨い
ごおごおと
火が
やさしい皮膚やら
内蔵やらを
細い糸のように
透明にして
消す

火は
煙を生む
念仏唱えても
人がさ迷うのは
燃やされて
しまったからだろう
骨に手を合わせ
白い粉のようになった
ボツコレの
体を
私が舐めたのは
それが骨でしかなかったからだ
体の中にいた
白い骨だ
頭蓋はじいちゃんの
顔ではなかったよ

じいちゃんが
煙草を呑む
じいちゃんが
生きていて
死んだのも知っているからだ



自由詩 焼骨の埋葬 Copyright 長押 新 2011-08-02 22:55:03
notebook Home 戻る