死に至らない病
nonya


ジグソーパズルの
欠けた1ピースが
見つからない

左目をなくした
モナリザが恨めしそうに
見上げている

完全であることに
恋焦がれる病が
再発したらしい

散らかった机の下に
這いつくばり
テレビの裏側の
埃にむせかえる

忘れようとしていた不安が
ほんの小さな空白から
堰を切って流れ出し
かけがえのない一日を
水没させてしまう

どうでもいいことなんだ

つぶやきながらも
探すことに痺れた頭の中で
欠けてしまった1ピースが
カラコロと軽い音をたてている

生きていくことの
半分は憂鬱

死に至らない病に
やんわりと冒されて
虫食いだらけの夢を
このまま
見続けていくのだろうか




自由詩 死に至らない病 Copyright nonya 2011-07-30 10:05:00
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