まな板の上で
かつて
生命を有していた
魚が微笑う

深い海の記憶が
プチプチとした卵のかたちをして
銀色に膨らんでいる

今にもビッグバンを起こして
マリンブルーの
星の卵が
膨張しはじめる気配

でもうちの台所には
小宇宙の存在する場所などありはしない

だからこの魚は
此処にいるべきではない

いつの間にか様々な想いが生成して
黄色や赤の
メッシュ入りの
銀河達が
徒党をなすかも知れない

だから
やはり今夜も
眠れそうもないのだ