信号待ち
たもつ

 

交差点で男が信号待ちをしていた
信号が変わるまでの間
男はピアノを弾いていた
肩に蝶が止まった
その衝撃で
男もピアノもバラバラに壊れた
信号が青になると周りの人たちは
慌てて男とピアノの破片を持って渡り
再び組み立てた
ありがとうございました
と、礼を述べてピアノは去っていった
後に残された男は
誰かにもらった桃を
ひどく不味そうに食べた



自由詩 信号待ち Copyright たもつ 2011-07-29 22:44:41
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