灰色の青
一般詩人-
銀髪の男はガラス張りの骨組みに四肢貫かれた死のイメージをしていた
青ざめた倉庫街で
少年が自慢の「戦闘機」で痩せた犬を追い回していた
青い塗装のマイクロサイクルで
よう、くそガキ
そんな犬のケツの穴追いかけて楽しいかよ
きなよ
俺がスライド教えてやるよ
ヘッ、見なよこの倉庫の中
ガキの積み木遊びの方がよっぽど気がきいてらあ
練習台に横木一本もらおうぜ
できねーってことはねーよ
感覚さえ掴んじまえば
なんなら犬に助けてもらえよ
鼻先でおまじないかけてもらやいぃんだ
赤く太い指が銀髪を掴んで外に引きずり出す
もう片方の手には猟銃
酒のやりすぎで右目と左目が兄弟喧嘩している
女が悲しげな顔で積み木を倉庫にしまい始める
やがて倉庫は少年ひとりきりになった
銀髪の男はガラス張りの骨組みに四肢貫かれて死んだ
白い骨組みを赤い血がつたい
こまやかなガラスが雪のように
男の身体に降った
少年はどこからか響く男の笑い声を聞いていた