リア充のひと
恋月 ぴの

犬猫とは違うことぐらい
判っているよ




でもね
薄汚れた服でサンダル引き摺ってた女の子

大切にしてもらっているのかな
パートのお母さんと
いつも家でタバコ吸っている男のひとがいる
夕ご飯作ってもらえなくて
お風呂に入れてもらえないから髪の毛は汗でひっついてて

女の子のこと邪魔だと思っているなら

こんなわたしでも里親になりたい




恵まれた暮らしなんかしてないよ

決して日当たりの良いとはいえない小さな部屋で
ひとと話したのはいつだったか

会社が休みだと話し相手は誰もいない

いらっしゃいませ
ありがとうございます

挨拶だけは上手になったけど




わたしの帰りを女の子が待っている

新しくはないけど洗いたてな木綿のドレス
髪の毛はさらさらで

開け放した窓からの風に輝いて

お母さん、おかえりなさい

駆け寄る笑顔がわたしを待っている




いつかはきっと気付く

わたしとは
性格も顔立ちも異なる赤の他人がわたしの部屋にいて

当たり前のように
わたしのファンデーションを使っている

そんなもんだと思う

それでもわたしは欲しているらしい




野良のために買い込んだキャットフード
わたしでも食べられないかと缶詰のラベルに見入る





自由詩 リア充のひと Copyright 恋月 ぴの 2011-07-25 18:57:14縦
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