七月を数える
橘あまね

緑色が波打って
濃くなって
育まれている
数えきれない夢たちを
数えてみる試み

1から10まで
10からまた1にもどる
5、くらいでたいてい数を忘れるから
また1にもどる
本当の数をいつわりなく数えるのは難しい
10まで数え切ることは少ない
数えきったところでまた1に戻るだけ
でも数えることをやめられない
静かに、静かに、
深く吸って深く吐くみたいに
こぼれないように

運よく10になったら
束にしてとっておく
とっておいたつもりでも
いつのまにかなくなっている
蒸発したり
盗まれたり
燃えてしまったり
でもまた束ができたら
とっておく

たくさんの10の束が
うずたかく積まれるようになったとき
今度はそこに色を塗ろう
配色を考えているうちに
また数を忘れるので
1にもどる

緑色が高まって
濃くなって
ほんとうの数は0か1
どちらにしても
ぼくは数が増える方向へ
数えていくことしかできない




自由詩 七月を数える Copyright 橘あまね 2011-07-24 00:03:36
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