ぼくはいびきをかくらしい
はだいろ

ぼくはいびきをかくらしい。
知らなかった。
なぜ、知らなかったかといえば、
ずっと、
ひとりで眠っていたから。


ふたりで眠ってみたら、
ぼくが、夜中に、
なんどもおしっこにいくのを、
おじいちゃんみたいだと彼女が言った。
いびきがうるさいけれど、
波がひいたころに眠れるから、
大丈夫よ。


ゆうべ、夢をみた。
ぼくの遠いむかし、かたおもいした女の子と、
海へ遊びに行く夢だった。
ぼくはうれしさのあまり、
ちょっとかなしくなっていた。


夢からさめると、
となりに彼女が寝息をたてている。
頭をなでると、
ん?って言う。
ぼくはいびきをかくらしい。
ごめんね、でも嬉しい、
ずっとずっと、知らなかったことだから。






自由詩 ぼくはいびきをかくらしい Copyright はだいろ 2011-07-22 20:49:14
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