空を切るように
長押 新
地で眠り喰うかと思えば
鳥は空へ飛び込み
青々しい高みから
丸く形作られた眼光を
背骨が美しい私たちに
じっとりと向ける
その眼は私のそれと似て
真っすぐに輪を描く
土臭さを背負いながら
まるでiroiroiroと
鳴くかのように
林を斜めにあがっていく
静寂はいっこうに現れず
空は青いままに
太陽が生まれては死に
死んでは生まれてくる
力強く色塗られながら
赤く描かれ
空すら動いている
そこに匂いはない
押しつぶされそうな
羽音が続き
鳥は見えるように
飛び上がる
過ぎ去るように見えて
現れながら頭上をまわる
昨日の雨が染み込んだ
風も木々も
止んでいる気配がする
そこへ無言ではない鳥が
飛び上がる
眼光が合わさることはない
死んでから一方が
片一方を覗きこむのだ
救えないから
食うしかない
さもなければ私たちは
両手をあげて
枯れた木々になる
そこに陰すら
浮かんでこない