好きなもの(2011年電子レンジでカレーを温める間に)
N.K.
娘はプリキュアが好きだと言う
そんな娘と
「これは?」
「サンシャイン」などと答えて
レトルトカレーの空箱で会話をして
電子レンジがカレーを温める間だけの信頼を
獲得できるような気がしていた
確か今年の2月
カレーのパッケージは変わっていた
名前が分からなかった
せっかく覚えたプリキュアたちは一新されていた
父親への信頼も一気に無くなったと感じた
電子レンジがチンと鳴った
3月を経て
子どもたちはプリキュアを応援している
名前を知らなかったプリキュアたちも
メッセージで子どもたちを応援している
5月の連休には
遊園地でプリキュアショーが催され
妻はあまりいい顔をしないが
父親は娘の笑顔が見たい一心で
一緒に出かけた
遊園地でやっていた物産展で発作的に
家で茹でて食べるジャジャ麺と冷麺を買ったっけ
子どもたちがプリキュアが好きなくらい
父親は麺類が好きなものだから
7月 暑い夏となり
名前を知らなかったプリキュアたちに
また一人が加わった
どこまでついて行けるか
すでに夏バテ気味の父親には心配だ
イタリア語混じりの必殺技?でメガトーンたちを眠らせ
安心させて子どもたちを眠らせる
子どもたちの好きなもの
「私、キュアメロディーがいいな」と話す君は
遠くない将来に
「私、○○くんがいいな」と思うこともあるだろう
その時 父親に話してくれるかな?
父親に好きなものをいつまで話してくれるかな?
できるだけ君に相槌を打っていたいよ
電子レンジがチンと鳴って
覚める夢
かもしれないけれど