肉を刺す
中川達矢

おそらく
今日という一日を
まめをつぶして過ごしてしまったのが
悔しくもなくて
誰のために
血を流していたのか

自分のために
なっていたらなあ
感嘆が漏れてから
夏の湿気につつまれて
雨にもでもなればいい
そして
誰かに忌み嫌われればいい

蚊は
外気に触れた血に
目を背けては
宙ぶらり
裕福な初物好きだろう
それでも
耳障りなささやきをよこす

明日は
まめをつぶしていないだろう
それよりも
つぶすためのまめを
作るには
どうするか考えたい

世界のまめを
どうか
この手の平に


自由詩 肉を刺す Copyright 中川達矢 2011-07-20 20:27:09
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
者語