確信のひと
恋月 ぴの
いたずらな風にでも煽られたのか
薄桃色の世界が一瞬目の前にひろがった
※
男のひとは女性の下着に恋するものらしい
くしゃっとした
小さな布切れなのにね
でもそれは男のひとが求めてやまぬ快楽への入り口
お尻のほうからつるり桃の皮でも剥くように
そっと腰を浮かせてあげるのはお約束で
差し出された果実には
例えようの無い甘酸っぱさと
捕らわれてしまっては二度と逃れえぬ巧妙な罠が仕組まれている
※
でもなんだろうね
見るだけなら罠にはかからないものさとばかりに
入り口の前で立ち止まってさ
あれこれと小さな布切れを品定め
あれはピンクだ
いやレースの白だったと評論家気取りは喧しい
見せる方も悪いって誰かが言ってたような
女性の私からみてもどうなんだろうって感じの短さは
おいでおいでを繰り返してもいるようで
※
いたずらな風に煽られたのか
薄桃色の世界が一瞬目の前にひろがって
そして何ごともなかったかのように
食虫植物の秘肉は閉じる