赤い靴
メチターチェリ

平気を装っているだけです
疲れにかまけて弱気を出すと
誰かが慰めてはくれますが
それはそれで尚更惨めです
大丈夫大丈夫まだ若いから
少しくらい眠くても昼休み寝れば
午後も気合いで乗り切れる
毎日毎日毎日毎日
部屋に帰っても仕事をやったり
家のこと友達後輩からの相談事で
寝るのはほとんど朝方になることもあり
頼られるのにはなれている
だからといって自分の身体壊しては元も子もないと
言ってはみても大丈夫の一点張りで
せめて食事くらいちゃんと採ってほしいところ
お昼には何食べたか訊くとどういうわけか
一昨日の夕食の話が飛んできたので
ほんとにぼくは心配になるのだけど
大丈夫倒れたら倒れたでその時だよなんて
糠に釘打ち暖簾に腕押し
携帯のアラームじゃないと目が醒めない
目覚まし時計じゃ駄目だから
結局深夜も着信音は鳴りっぱなしで
そんな非常識な友人や彼女のことを
何ひとつ顧みていない様子にぼくは無性に腹が立つ
と同時に彼女はぼくにさえ信頼を置いていないのが明らかとなり
心配と歯がゆさと憤懣と遣るかたなさと失望と悲観と諦念の輪舞を
ぼくはぐるぐるぐるぐるいつまでも回り続ける
赤い靴の少女


自由詩 赤い靴 Copyright メチターチェリ 2011-07-17 19:18:42
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