草野春心



  母親が
  朝食を作る途中で氷になっていた
  フライパンと
  目玉焼と
  五十二歳の痩せた体が
  透明なものでひとつに包まれていた



  トイレの戸を開けると
  やはり父親も氷になっていた
  広げられた新聞紙
  干上がった瞳
  ペニス



  窓の外で川が流れている
  物凄い速度だ
  やがて
  どこからともなく
  一台の車がやってくるだろう




自由詩Copyright 草野春心 2011-07-16 16:25:23
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