夏のアンセム
塔野夏子

雨の季節が過ぎ
風の中から 川面から きらめく緑の梢から
いっせいに放たれてゆく
夏を奏でる音符たち
それらはゆらめき絡み合い
透明なアンセムになる

その響きに
意識を浸せば
やがてこの身体からも
つぎつぎと音符たちが生まれはじめる

あざやかな花たちも 閃く逃げ水も
白銀の雲も 長い夕映えも 潤んだ星たちも
覚めているときも 眠りも その奥の夢までも
時空すべてが旋律になる
時に華麗に 時にせつなく
いくたびも転調しながら
うるわしく流れつづける
夏の限りを
夏の果てへと






自由詩 夏のアンセム Copyright 塔野夏子 2011-07-15 20:54:09
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