あなたはただただ文章で、実体をもたぬからだを選り抜きの字面ばかりで装丁した、 みみざわりのよい、そうしてくちあたりのよい、あなたはそのような崇高なる文章で
あなたの形は女子だった
陰鬱とすこしばかりの軽蔑をその狭い額に込め、ほっそりとした首に予感的な魅力を含む
髪は短くてもそうでなくても良い
脹ら脛のない脚と猫背ぎみの姿勢が一見して目を引くが、ふぞろいな頭蓋・まだ膨らみの浅いむね、一本だけ折れた爪など、 目をやればやるほどに欠如による清潔さがあらわれてくる
あなたは女子だ
蝶でも魚でもない女子、口内が果実で詰まる、ひたすら傷つくばかりの女子だった
いつの日も
まさしくいつの日も
わすれがたい窓際を
置き去りにした読点を
空隙・章はつらなるほどにあなたを解体してゆくのだ
秘密は秘密のまま
仄めかしてゆくだけ
エイチで支度し終えたならあなたに相応な名まえなどを与えてやる
額より装飾した縁を添えて
円くした火元で焦がして
想像で噛め
詩的に窺えよ
たったひとつ行をなして
廉潔さをくるめて奪う
なんて空々しく、
この口びるで読み上げた
あなたを真似る
感触は撫でるように
あなたをつくりだしてみたかった
くたばりゆく文字列には一瞥もくれない、 その頬に頁をかさね、積み上げる無駄と塵 、どこにもゆけやしないのでこうして足を揃えている他
いつの日も
あなたをあらわすのに一等、
しっくりくるような一文を探していた
並べた書架の上
それはどうにも気高く
毅然として光ることだろう