りょう
かんな


捧げるほど
じゃない
いくつもの縁で絡み合ったこの地で
たまたま
出会ってしまって
今日は地球の重力がいくらか強い
だから
すこし伝えてみたい

月が見える
冷えた夏の夕刻に浮かぶ
白い証明
今夜は君の中に入りたい
この恋の
すべてを知りたくて
ことばという拙い武器を持ち合わせて

朝起きると
きっと
アイスコーヒーは甘みを増している
君が
注ぎ足したキスが
こっそり
ガムシロップと化して
私の過去という苦さを
カモフラージュするように

きもちを分析できるほど
器用じゃないから
ことばに変換する作業は滞りなく進める
示してく感情が
たとえば
どんなに湿り気を
含んでいても

捧げるほど
じゃない
お互いに盾を持ち合わせない
それがいい
月に祈るように
ことばとからだを重ねていこう
今夜は
君の重力と
このことばの不確かさを感じて
笑えるくらい
しあわせに
眠りに就きたい




自由詩 りょう Copyright かんな 2011-07-14 17:36:20
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