十八歳の夏
長押 新


ふらふらした夏が
わたしのもとから去るのが
非道く恐ろしかった
土下座をしても
夏はここに居座るでもなく
まさかそれで
わたしは土下座もできず
真上に吐いた唾にあたる
まぬけなものたちを
腹を抱えて笑っている
その腹には血の味の違う
友人を孕んでいる
その友人を抱えるように
手をしまう
また誰かの腹に孕んだわたしも
手の中にしまわれる
愛する彼が
その手を解こうとするから
土下座をする
息をしようとして
唾を吐いた
まぬけなものが
唾にあたる



自由詩 十八歳の夏 Copyright 長押 新 2011-07-13 20:12:13
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