即興
橘あまね

青い星の表面の、いちばん青いあたりに
ただよっているたまゆら、
暑さのせいでだいぶひしゃげて
じくじく、いじけた音を出してる

真昼の夢がさめやらぬまま、
うとうと動いてごろごろ働いて、
一日が妙に長い
仕事の後はやっぱビールだよね、とか
メールが来るので
そうだよねー、枝豆も旬だよねー、とか
さしさわりのない返答をおくる
最後にビールを飲んだのはいつだっけ、
一年くらい前だっけ、
一日がこれだけ長いってことは当然一年は
その365倍くらい長いから
記憶が1/365くらいに希釈されていたって
不思議はない
是非もない、ビールを買いに行こうにも
財布に70円しかないという事実はメールしない

青いこの星があまりに青い、
他の色がなくなったみたいだ
ぬりつぶされてさまようたまゆら、
遠くで鳥の歌をきく



自由詩 即興 Copyright 橘あまね 2011-07-11 23:28:04
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