ジュライシック公園
小池房枝

コチドリが呼びに来るチチチこっちだよ

午前五時オオカナダモはまだつぼみ

新しく朝日に光る蜘蛛の糸

降交点目掛けて月が駆け下る

大気圏光学現象コンテスト

薄雲をものともせずに歳の星

風強し百合の振り子は振り切れず

食堂はタベルナ星はアケルナル

天の川オオカナダモの白い花

コティロリーザ 紫のチュチュのバレリーナ

 
ミンミンは餃子屋の名前アブラゼミ

クマムシになってコテンとしていたい

有翼の眠りの神は美青年

洗ったら猫きれい猫よごれてたのね

夏料理脱皮したての若イナゴ

ぬけがらの主すいすい飛んでいる

クラッカー食べるか捨てられアカミミー

暗黙知あんころ餅なら餡も口

カサブランカ真っ白なダリとガウディと
 
落ちネムもそよりと揺れて朝涼し


風鈴とサンダーソニア花屋さん

アサガオがよそんちでばかり咲いている

かのこ百合ふっくら何か宿してる

夕方のナツアカネたち今日生まれ

雨の日はアジサイ風の日にはネム

今はまだ可憐な背丈カンナ燃ゆ

草茉莉図書館からの帰り道

カミキリムシどこへと飛んでいくのかな

花びらの線香花火さるすべり

まみどりのケセランパサラン栗のイガ


外は夜梔子クチナシが白く浮かんでる

羽化場所を求めて徘徊する貴奴ら

海がめの背中は広いな大きいな

海がめと行ってみたいなよその国

スプロケットどんなロケットか夏のセロウ

夕立が干物のミミズ戻してる

なぜミミズ?すぐ溺れるから水を見ず?

たれぱんだ七夕の笹にたれている

さらさらと金銀砂子の砂時計

夢を喰むバク星空を駆け巡る


冬の瓜、冬瓜トウガン夏のヒスイ色

銀河郵便ヤギよ短冊食べちゃいな

ツチノコのようだ暑いと猫が長い

打ち付けるクジラの尾型高気圧

真っ白なテヅルモズルよ烏瓜

茄子は実も花もむらさき美しい

とまとまと臓器の形に連なって

グレナディン夕焼け空のグラディエーション

がおがおと咆えるアサガオ「朝だよー」

朝昼と夕夜、花たちガオーガオー


俳句 ジュライシック公園 Copyright 小池房枝 2011-07-11 21:39:37縦
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