坂
りり
ここを
登りきれば
何年も
椅子に座って
ばかりで
運動なんて
これっぽっちも
してなかった
ふくらはぎが
太ももが
体全体が
思い返せば
大したことなかった
今の悩みに
比べれば
可愛いものだ
ただ
あの頃は
必死に
いつから
だろう
それは正しいのか
と
問いただせなく
なったのは
ひたすらに
ただひたすらに
愚直に
忘れ物だとは
思わない
落とし物だとは
思わない
ただ
使わないだけだと
あの頃は
真っ直ぐしか
使えなかった
ここを
登りきれば
使えなくなった
ものも
多い
使わなくなった
ものも
多い
それでも
この坂の上で
初めて
感じる今が
あの頃以上に
愛しい