こころのフーテン
nonya


高層ビル群の彼方に
鮮やかな青と緑を
見ようとしてしまう旅

虫食いだらけの想い出を
あまりにも流暢に
語ろうとしてしまう旅

すれ違いざまに香った懐かしさに
誰かの後姿を
追いかけようとしてしまう旅

果たせそうもない約束のために
膨大な言訳を
用意しようとしてしまう旅

何の挨拶もなく旅立ってしまう
こころのフーテンに
追いつこうとして
全角ひらがなを変換キーでたぶらかす

何の前触れもなく帰ってきてしまう
こころのフーテンを
出迎えようとして
喩を捏ね繰り回しながら韻を踏んづける




自由詩 こころのフーテン Copyright nonya 2011-07-09 10:11:38
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