こころのフーテン
nonya
高層ビル群の彼方に
鮮やかな青と緑を
見ようとしてしまう旅
虫食いだらけの想い出を
あまりにも流暢に
語ろうとしてしまう旅
すれ違いざまに香った懐かしさに
誰かの後姿を
追いかけようとしてしまう旅
果たせそうもない約束のために
膨大な言訳を
用意しようとしてしまう旅
何の挨拶もなく旅立ってしまう
こころのフーテンに
追いつこうとして
全角ひらがなを変換キーでたぶらかす
何の前触れもなく帰ってきてしまう
こころのフーテンを
出迎えようとして
喩を捏ね繰り回しながら韻を踏んづける