無題
吉澤 未来

歴史的モジュールの
中にある形骸化した城には
赤い血が残された

飛び散る悲惨さ

私を忘れた王が
「あなたがた・・・」
と叫ぶ

「あなたの中に何もないだろう」

人々はそう思う

食い違う離脱した観念

王もそう思っていたのだから

肉体は叫び
精神に飛び散った血が
身体の中に入ってくる

王の血を飲んだ人々には
精神に宿る肉体が信じられない
その逆も

私は私であると同時に
私でしかないあなたを
道連れにして生きて行きます

「私」には
何のことかわからない

悲劇は絶望に
喜劇は憂鬱に
変わる

身体が飛び散る歴史には
入り込む余地のない場所がある

私は私の城に住む
浮遊した人々の
霊魂をしずめるために

私は言葉を忘れ去り
存在をも忘れる

人々は勝つべき場所へ

今や言葉には何もない

力がないのだ

そのかわり私は私を信じるわ
信じるべき言葉がない
のだから

そのかわりに・・・・




自由詩 無題 Copyright 吉澤 未来 2011-07-04 12:50:03
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