さら に
砂木

通称 スイカ畑 という林檎畑がある
父が子供じぶん スイカを作っていた畑で
祖父母が買い求めた時は 杉林だった
杉の木を一本 一本 切り倒して畑にして
すぐに収入に結びつく スイカを作っていた

まだ 掘り返されない 杉の根っこを見つつ
畑の手伝いをしたものだと 聞いている
そして 林檎栽培の技術を持ち帰った人がいて
少しづつ 林檎の苗木が植えられ
三年 五年 十年たつうちに
林檎畑になったのだ

林檎の木にすぐに林檎は実らない
苗から育て 病気から守り 環境を整え
成木に育ってやっと生活のたしになる

見たことがないような豪雪の被害で
ボキボキ押し潰された林檎の木は
切り倒されて 根を掘り起こされ
野菜畑になった

子供の頃から見慣れた田園風景が
ひと冬で くつがえされてしまったけど

ここはもともとは 一面 杉林
昔の人が開墾して さらちにして
人が住めるようにした土地
林を追われた生き物達と残った生き物達が
草薮のどこからか 目配せしあう

次に芽吹くのは なんだろう








自由詩 さら に Copyright 砂木 2011-07-03 21:52:59
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