葉脈
三条麗菜

川のように
網のように
体液が流れる

私はあなたという太陽の
光を浴びて
生きる力を得る
一枚の葉のようなもの

でも体液の流れは
あくまで内に秘めなければ
なりません
裸になるのは怖いのです

葉脈をむき出しにされた
葉の標本を見つめる
私のまなざしは
きっと裸の私を見た
あなたのまなざしと同じ

指で軽くつままれた葉の
恥じらいと恐怖と
わずかな誇らしさ
その複雑さまで
あらゆることが明らかにされ
その時から
一枚の葉という
輪郭が失われます
そしてそれは私の
望むところではありません

私はただの
一枚の葉でいたいのです
風に揺れ
裏と表だけがある
とても単純な形として
あなたの前にいたいのです

あなたのいない時の
反芻の中で
私は葉脈として
あなたから受けたすべてを
あなたから感じたすべてを
まとめて整えてそして
それが生きることそのものと
なるのです

川のように
網のように
私の中に
はりめぐらされた
あなたという存在


自由詩 葉脈 Copyright 三条麗菜 2011-07-02 23:57:53
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