創世記 (生体反応の設計)
乾 加津也
受精で
創造されたもの
壁のない部屋が荒れ狂う大宇宙のはるか彼方を漂っていた
巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨 巨巨 あ 巨巨巨
巨大なたたずまいが四億の夜を硬化して初めて
あ
と いう そのとき
混沌に微睡(まどろ)む大地から こころもち
ひとりの人が起き上がった
永遠ニ似タ空間ヲカケテ
彼ニハ彼ノ「理(ことわり)」ガ成サレタ
混沌に微睡む大地に こころもち
ひとりの人が帰郷した
巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨 あ 巨巨巨巨巨巨巨 巨巨巨巨巨巨巨巨
巨大なたたずまいがさらに四億の夜を解きほぐして改めて
あ
と いい
壁のない部屋が荒れ狂う大宇宙の漂いをやめ
劫初の点に舞いもどると
人はこの部屋の息を全部
吐いてしまう
死のせつな
破壊されたものの瞬く