安宿ごろごろ
真山義一郎

起きると二時
ああ、夜中に目が覚めてしもうた
と、思いきや、昼の二時である
よく寝たな
と、テレビをつけるとサスペンスドラマの再放送
うむ。
面白いではないか
と、それから寝転がってテレビを見ている
まあ、普段からごろごろしているのだが、
ここ数週間、余計にごろごろしている
谷間の民宿で
沢に水の流れる

そもそもは、ももいろクローバーZがきっかけ
ももいろクローバーZのライブ
昼、夜、二公演、四時間に渡って
みんなの妹、しおりーん
などと絶叫してからというもの
なんもする気がしない
で、バスに乗って
谷間について
そこらへんを歩いているうちに
発見した安宿に逗留

しかし、なにもしないのも癪だ
ので、部屋にやたらと置いてある観葉植物に水をやったり
亀や金魚の餌やり業務をしている
やはり、俺にも働きアリと称される日本人の血が流れておるのだな
と、自分で感心しつつ
また、ごろごろしている

そのうちに
女中のお梅ちゃんと仲良くなった
十八だという
若い
じゃが芋のような顔をしているが
愛嬌が良く
俺はこんな子が好きだ
という子
と、いう話になると、
すぐ手を出そうとするはず、
というのは偏見であり
プラトニックを貫いている
実のところ
ももいろクローバーZのライブ以来
性的に不能に近い
全体的にダルダルなのである

で、お梅ちゃんを
横に寝かせ
お互いうつ伏せになり
バタ足の練習などしている
バタバタバタと

もはや、解脱
横になると涅槃
そういう日々が永劫に続く予感

もう、夏だね
沢の緑は青々
空にはでっかい入道雲





自由詩 安宿ごろごろ Copyright 真山義一郎 2011-07-02 03:27:30
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