まばたきはシャッターで
mizunomadoka

今日はずっと雨だった
鵲は傘のまま
駐輪場の紫陽花をみていた
「中に入ってればよかったのに」
「さっきまで遠野さんが」

手をつないで歩いていると
鵲は「ヒュン」と言って、タンポポを摘んだ
「どうやったの?」
「わからないの」

淋しいですか? 冷たいですか?
防波堤に話しかけた
私の名前は鵲です。昔の鳥と書いてください

家に帰って
鵲にもらった花をグラスにさすと
まだすこし色つきに思えた

雨のまま、花に傘をさして
遠野さんは水滴に指でふれた
「今年は色づきが悪いね。雨でだいぶ散ってしまったね」
そう言って、灰色に消えた

嵐が近づいてきて
私は防波堤に登った

海鳴りでガラスが震えた
僕は窓の外をみた

「誰?」
「一枚の写真」





自由詩 まばたきはシャッターで Copyright mizunomadoka 2011-07-01 19:29:38
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