未来文献 (生体反応の設計)
乾 加津也

諦めることをやめるな
(万力の)気魄をこめて
/諦めよ

               わたしたちは一つ屋根の下にいた、熱心
               な三角(元帥)のまえに集合し、気候で
               読まれた構造物の遺書に震えた、高速逆
               回転で聞かされた不如帰の鳴き声から撚
               り糸を紡ぎ、丁寧に一枚一枚引き剥がし
               た、何種類ものユリの花弁で幟をぬうと
               、ヘルメットのような希望を雄雄しく前
               頭葉に掲げて、這いつくばりながらもこ
               んな意味に似た、隣国滅亡の理由を叫ん
               だ、
               「胸をはれ、頭を上げよう」
               「手をとれ、命を重ねよう」
               破水の、音を滑る笹舟の底で、小さく丸
               い種子の平静さで、そうではあっても未
               だ知られていないアルファベットを鎧兜
               にしたためて、寝ては覚め、もちつもた
               れつ遺伝的に肉体疲労のわたしたちでも
               颯爽と生きてきたのだ(から)、

諦めることをやめるな
(万力の)気魄をこめて
存外
/諦めよ


自由詩 未来文献 (生体反応の設計) Copyright 乾 加津也 2011-07-01 14:45:13
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