ある農民のたとえ話

ある男が、隣人の倉庫から盗んだ壺を自分の庭に隠した。
そして数日が過ぎ、男は自分の悪行についてすっかり忘れてしまった。
ある日、壺が隠された土の周辺に若葉が芽生えた。
とても愛らしい葉だったので、男は水を与えながら育て続けた。
そしてしばらく時がたつと、青々と実をつけたものに成長した。
収穫の日、男は祝いを兼ねて、農民の仲間を集めてきた。
男がそれを根元から引き抜くと、あの時盗んだ壺までも一緒に出てきてしまった。
こうして男は自分の悪行を、自ら民衆にさらしてしまったのだ。
男は今回の事件を太陽のせいにし、今後二度と自分にかかわらないようにいった。
そして翌朝自分の畑をふと見てみると、すべての作物は枯れ果てていた。


自由詩 ある農民のたとえ話 Copyright  2011-07-01 05:29:18
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