110701
ありふれた放射性同位元素を探し
地球を三周くらいした後に
原始人の顔をした博士が暖簾を潜って入ってきたときに
味噌ラーメンを啜っていた者たちは3名で
豚骨ラーメンを啜っていたのが2名
きつねうどんが食べたいとごねていたのがあおばで
ご亭主は嫌な顔もしないでうどんの玉を湯がいてた
博士は、なにも言わずカルシウムが湧き出すようにゆったりと腰を下ろし
水をぐいと飲む
なにも言わないのにすぐに運ばれてきたのがチャーシュー麺
細胞の中のカルシウムイオンの挙動についてはEテレに任せ
飼われてキタキツネは裏口からそっと抜け出して
生まれ故郷の河原に帰る
呼ばれなくてもやってくるものと
忙しくてなかなか来られないもの
利益のために捕らえられ
虐待されるもの
理不尽な扱いに耐えかねて逃げ出す者も居て
この国の成り立ちもいささか複雑ですと
博士は誰に言うともなく呟く
ラーメンは思いの外に消化が良いので
カルシウムイオン不足の君たちにもお勧めできますと
私はなにに使えるか分からないが
とりあえず使えそうなキャッチコピーを取りそろえ
専用のノートに索引付きで認める
これから先は呼ばれない限り入場できない世界だから
君たちは置いて行くよとは
心優しい博士が口にすることはないが
僕たちは行けないのだとはなんとなく分かる
魔法の金属(カルシウム)を薄く伸ばして箔にして太陽に透かし
眺めてみたい
どんなふうに見えるのか
君たちは知っていても教えてはくれないから
「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、クローバーさん