不熟
砂木

エプロンの隙間から落ちた
桃の まだ小さな実

天気の良いうちに選った
たくさんの粒のうちの
枝から 切り離したひとつ
玄関にあがりこむと
ころころん コンクリートに転がった

桃の木に残した粒は 果実
たわわなにかぶりつく 夢の

増す果肉の重みにたえるように
根から葉から送られる養分を
はしごの上に登り くびる 
それが ひとつ 
エプロンに ひそみこみ

ころ ころん ころう
占いの
ようにもなれない 軽く弾み
指で つまむと

風に揺らめく草の奥へ
投げ込んだ












 


自由詩 不熟 Copyright 砂木 2011-06-24 23:04:00
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