森高千里
はだいろ

フリーターのころ
バイトの仲間達と皿を洗いながら
どんな有名人に会ったことがあるかで
自慢しあったことがある

岸本加世子が店に来たので、
お調子者のあんどう君が、
Tシャツの背中にサインをもらったのだ。

ぼくの母ちゃんが、
ホテルで、友達のおばちゃん連と食事をして、
ぺちゃくちゃしゃべりながら、
エレベーターに乗ろうと待ってたら、
ドアがあいて、
ジャイアント馬場が出てきた。
母ちゃんたちは、みな、腰を抜かした。
「あれは人間じゃないよ!」

みんな爆笑した。
でも、
バイト仲間でいちばん地味な、
今井君の自慢にはかなわなかった。

今井君の、
大学の友達のいとこは、
熊本で、森高千里の飼い犬に、
足を噛まれたことがある。

ぼくらは真顔で、
こころからうらやましいぞと思った。
あのころのバイト仲間は、
今でも顔がうかぶほど、懐かしい。
どうしているのだろうか。
いいやつばかりだった。
ぼくの夢がいつか、かなうといいですね、って、
笑ってくれたのにな。









自由詩 森高千里 Copyright はだいろ 2011-06-23 22:19:29
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