冬の諏訪湖畔・・・から遠くにあるイメージへ。
吉澤 未来

きらきらと光る波は
夜の一筋の影
風の音と共に
凍りつきました

子供たちがグラウンドで見つける
プラスチック瓶の破片でも
色つきガラスでもない




サラ サラ サラ

ガチ ガチ ガチ




さら さら さら

きら きら きら


定角線分布の
組織図に書いても

宇宙の片隅で
三角定規を使って

ありったけの線を
重ねてみても

ここにある輪郭線を
超えることはできない

つめたい氷の輪郭線
はかなさなんかよりも
もっとはかない

針の先にある空白の芯を
凍りつかせて

宇宙大の緻密さをもった
杓子定規を使って
ラビリンス模様を描く

波の音と振動が
創り出した彫刻は

響くガラス 断片
透明な   輪郭
破片の 命

とおくにある
イメージ

遠くにある「おとうさん・・・」

濃緑な心の端っこ
輪郭は
奥にある
ウェルニッケ言語野
その中枢の柱

一眼レフカメラに映る
逆さ睫(まつげ)

壁に掲げられた
機関車のモノクロ写真


安全地帯の
カセットテープ
黒猫が張り付いた
幻影

壊れかけた赤い
ラジカセは
声の出ないスピーカーを
携え

見えるのは
ひとつ




自由詩 冬の諏訪湖畔・・・から遠くにあるイメージへ。 Copyright 吉澤 未来 2011-06-23 00:48:18
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