冬の諏訪湖畔・・・から遠くにあるイメージへ。
吉澤 未来
きらきらと光る波は
夜の一筋の影
風の音と共に
凍りつきました
子供たちがグラウンドで見つける
プラスチック瓶の破片でも
色つきガラスでもない
夜
サラ サラ サラ
ガチ ガチ ガチ
朝
さら さら さら
きら きら きら
定角線分布の
組織図に書いても
宇宙の片隅で
三角定規を使って
ありったけの線を
重ねてみても
ここにある輪郭線を
超えることはできない
つめたい氷の輪郭線
はかなさなんかよりも
もっとはかない
針の先にある空白の芯を
凍りつかせて
宇宙大の緻密さをもった
杓子定規を使って
ラビリンス模様を描く
波の音と振動が
創り出した彫刻は
響くガラス 断片
透明な 輪郭
破片の 命
とおくにある
イメージ
遠くにある「おとうさん・・・」
濃緑な心の端っこ
輪郭は
奥にある
ウェルニッケ言語野
その中枢の柱
一眼レフカメラに映る
逆さ睫(まつげ)
壁に掲げられた
機関車のモノクロ写真
安全地帯の
カセットテープ
黒猫が張り付いた
幻影
壊れかけた赤い
ラジカセは
声の出ないスピーカーを
携え
見えるのは
ひとつ
埃