ホットミルク
電灯虫



鍋に牛乳を注ぎ
砂糖を適当に入れて
冷えた状態で
とりあえず木ヘラでかき混ぜる。
鍋底はザラザラし
固体の砂糖をすり潰してるようで
なんか悪い気がしてくる。
ザラザラ感が薄まってくると
一回全開したつまみを
中火にまで捻り直して
ゆっくり ゆっくり
かき混ぜる。
温まってくると
牛乳の表面に薄い膜が出来て来る。
おっ ご登場ですね
と 喜んでしまう。
牛乳の栄養分がたっぷりつまってるらしく
牛乳に特別可愛がられている資格のようで
今日は私が僕が と権利を主張して
姉貴とよく取り合っていました。
今や独り占めできる その膜を
大切に 大切に掬って
人気のコーヒーショップで購入した
コーヒーカップに注ぐ。
表面がコーヒーカップに隠れるけど
湯気だけは誘うように立ち昇る。
騙されるまま飲めば
上唇を火傷する。
懲りもしない儀式なんだけど
飲めば食道をちびっと熱く通る
そんな痛みたちも一緒で美味しいんです。
じめっとした そんな日でも
膜をちょびちょび食べつつ
再度の火傷に気をつけて
ずっと すすって 
気持ちホッとして飲む。



自由詩 ホットミルク Copyright 電灯虫 2011-06-21 00:44:19
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