空地
たもつ
空地で少年たちが野球をしていた
打球は大きな弧を描き
空のどこかへと消えて
二度と戻ってくることはなかった
家に帰るとリビングの隅に
ボールが転がっていた
返さなければ、と思い
空地に行くと
少年たちはもういない
空地もすっかり整地され
古い建物が静かに並んでいる
ひとりだけ置いていかれた
自分がしてきたのと同じように
境界杭をそっと踏んで
アウト、と呟いてみる
自由詩
空地
Copyright
たもつ
2011-06-20 20:51:47
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