追想
霜天

いつも躓く丘の上の
崖の縁に私を積み上げていく
こんな季節でも不思議と崩れないもので
いつしか、
見上げるほどの、わたしになっている


いつからこんなことを、と
通りすがる誰かに聞いても
昔がないから、と
逃げるようにする
ひとりふたり、と繰り返したところで
皆、私なんだと気付く


道端の石ころに足を取られ
水溜りに注がれた世界を
飛び越えるように、揺らす
限りある足跡を
踏み潰すように使いながら
使い古しのわたしが
あと、どれくらいここにいられるか、と
指折り




がらがらと、崩れる音がして
わたし、が飛び起きると
私、整然とした塔になっていて
遠い街からでも見つけられる、きっと、だろうと
一通り残さず、笑い尽くして
通り過ぎる


通りすがる


自由詩 追想 Copyright 霜天 2011-06-18 23:44:57
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